2004年4月17日(土)16:51

フィッシャー外相:「EU政策で首相と意見の衝突はない」

ベルリン(AFP)

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)は、外相とゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)の間にEU政策をめぐり意見の相違があるとの報道を否定した。「私たちはこの問題でまったく同じ路線にある」とフィッシャー外相は『ヴェルト日曜版』Welt am Sonntag に述べた。

報道のきっかけは、シュレーダー首相がいわゆる中核EU構想を再び提唱したことであった。しかし、かつてこの考えに言及したフィッシャー外相は、すでにこのような二つの速度のヨーロッパを否定する立場に替わっている。

当時私が考えていたのは、「もし機構改革がご破算になったら、拡大EUに平行する形で小さなEUをつくることができないか」という問題である。しかし今では拡大とEU憲法の進展によりこの考えも不要になった、とフィッシャー外相は『ヴェルト日曜版』に語った。

だがEU憲法草案は様々の分野で異なる速度の統合を想定している。これは非軍事分野の先行統合や軍事分野での構造的協力にも当てはまる。この点で憲法は、「先に進むことのできる国々には先行」を認めているのだ。シュレーダー首相が述べたのもまさにこのことなのだ、とフィッシャー外相は説明した。

キリスト教民主同盟のマティーアス・ヴィスマンEU政策担当は、欧州統合をさらに進める意欲のある国々を止めるべきではないとのシュレーダー首相の考えは正しい、と『ライニッシェ・ポスト』紙 Reinische Post に語った。しかし政府にはEU政策の路線を明確にするよう求めた。

社会民主党のクラウス・ヘンシュEU政策担当も同様に『ライニッシェ・ポスト』紙で、シュレーダー首相も中核EUを主張しようとしたわけではない。むしろEU憲法の交渉が破綻した場合の「一種の警告であろう」、と説明した。逆にフィッシャー外相も2月に、中核EUの考えがドイツ政府の政治的コンセプトであるかのような印象を正当にも払拭しようとしたのだ、とヘンシュは語った。

原題:Fischer: Kein Streit mit Kanzler in Europapolitik

訳注:今後"Europa"が明確にEUを指す場合は、「ヨーロッパ」ではなく「EU」の訳語をあてることにする。
たとえば、 Kerneuropa :「中核ヨーロッパ」→「中核EU」、Europapolitik:「欧州政策」→「EU政策」となる。




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